2025/11/9

「新しい人事制度」を導入する前に――事前シミュレーションの重要性とは

クライアント企業で、新しい人事制度の導入にあわせて年収シミュレーションを実施しています。

実はこの「シミュレーション」が、制度を成功させる最大のポイントです。

1. 賞与設計を「見える化」する

まず、賞与の設計を次のように仮設定しました。

  • 夏季賞与:新基本給 × 係数(個人差の前年賞与差は最大11.1万円)

  • 冬季賞与:賞与予算を「売上総利益 × ○%」で設定(個人差の前年賞与さは最大13.8万円)

このように、賞与を業績連動+個人評価のバランスで設計すると、「会社の成果を全員で分け合う」意識が育ちます。

また、単に“前年と同じ賞与額を出す”のではなく、利益に応じて支給幅を変動させることで、人件費と経営実績を連動させることが可能になります。


2. 年収シミュレーションで見えてきたこと

今回のシミュレーション結果では、次のような差が出ました。

  • 年収増の最大値:Aさん 前年比+9.7万円
    (※Bさんの前年比のプラスが最大でしたが、前年欠勤によるマイナス12万円があり、欠勤などは考慮せず算出します。)

  • 年収減の最大値:Cさん 前年比−20万円

このように、制度設計の段階で実際の年収差を“見える化”しておくことで、「誰が、なぜ、どの程度変動するのか」が具体的にわかります。

社員から「評価制度の導入は反対だ」と言われる原因の多くは、結果のイメージが見えないまま導入することにあります。
シミュレーションを通じて、社長の感覚と現場のバランスをすり合わせておくことが重要です。


3. 社長のイメージに合わせて制度をチューニング

評価制度は“設計した瞬間がゴール”ではなく、社長の経営観・社員への期待感に合わせて微調整を重ねるものです。

打ち合わせ時に、社長から、減額については前年比で年5万円以内に収めてほしいと要望がありました。

今回も、今月の打ち合わせで実際のシミュレーションをもとに、「誰にどのように報いるか」「どの層に重点を置くか」など、社長のイメージを反映しながら制度の係数を調整し、社長のイメージに合うのように整えていきます。

まとめ:制度は「数値」ではなく「納得」で動く

人事制度は、数式で動くものではなく、“納得感”で動くものです。

  • 数値上の公平さだけでなく、

  • 「この会社で頑張れば報われる」という実感、

  • 「社長が社員に何を期待しているのか」の明確さ

これらがそろって、初めて制度は社員の行動を変えます。

制度設計の成否は、導入前のシミュレーションで決まる。
社長のイメージと、数字のリアルをすり合わせることが、制度成功の第一歩です。

人事制度のシミュレーションに関する問い合わせはコチラから。

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