2025/6/15

現行給与から新給与へ移行するときの注意点

給与体系の変更は、企業にとって大きな決断です。

特に、社員の現行給与をもとに新しい給与体系に移行する方法は、組織の安定性と社員のモチベーションを維持しながら、効果的な改革を実現するための一つの有力なアプローチです。

しかし、これをどのように実行するかは重要なポイントです。

本記事では、現行給与を基にした新給与体系への移行のメリットと、その実践方法について詳しく解説します。


1. 現行給与を基にした移行がもたらすメリット

新しい給与体系を導入する際、最も避けたいのは社員にとって不利益になる変更です。

特に、社員が自分の給与が突然下がることを恐れる場合、改革への反発が強くなります。

社員の実力や役割を基準に給与移行した場合、大幅に減額になる社員が出てきます。

不利益変更に該当してくる可能性が高くなります。

現行給与を基にした移行方法は、こうした不安を解消するための有効な手段です。

1.1. 不利益変更を避ける

新給与体系への移行に際し、社員の現行給与を基にしたアプローチを取ることで、社員は大きな不安を感じにくくなります。

自分の現状が踏まえられているという安心感を与えることができ、変化に対する受け入れやすさが増します。

1.2. 公平感と透明性の向上

新しい給与体系を「現行給与を基にする」と明確にすると、社員が感じる公平感や透明性が向上します。

自分の給与がどのように決まったのかが明確であれば、納得感が生まれ、社内の信頼感も高まります。

1.3. 社員のモチベーションの維持

給与体系の変更による急激な減額を避けることができるため、社員のモチベーションを大きく損なうことなく、企業の目指す方向性へと組織をシフトすることが可能です。

2. 移行方法の具体的な実施ステップ

2.1. 社員の現行給与の分析

まず、社員一人一人の現行給与の固定給、変動給を正確に把握します。

その上で、現行給与に基づいた新しい給与体系を設計します。

2.2. 新しい給与体系の設計

新給与体系は、現行給与を基本に、評価に応じて上下動できる仕組みを作ります。

評価基準は、各レベルに応じて明確に定め、給与が高い≒求めるレベルが高い評価基準となります。     

全社員に共有することが重要です。

これにより、給与が実力に応じて動くことに対する納得感が高まります。

2.3. 定期的な評価と調整

給与体系を移行した後も、定期的な評価を通じて、社員の実力や成果を反映した調整を行います。

これにより、社員は自分の努力がしっかりと報われると感じ、さらなる向上心を持つことができます。

2.4. コミュニケーションの強化

新しい給与体系への移行時には、社員への説明責任が重要です。

なぜこのような変更を行うのか、どのように評価が行われるのかについて、明確に伝えることが必要です。

社員が新しい仕組みに納得し、安心して受け入れられるよう、積極的にコミュニケーションを取ることが成功の鍵となります。

3. 結論: 給与体系の移行は慎重かつ段階的に

給与体系を現行給与を基に移行する方法は、企業にとっても社員にとってもリスクを最小限に抑え、スムーズな変革を促進するための効果的なアプローチです。

評価に基づく給与の上下動を適切に管理し、社員一人一人に公正な報酬を提供することで、組織のパフォーマンス向上と社員の満足度向上を実現できます。

変革は一朝一夕には成し得ませんが、慎重かつ段階的に進めることで、社員と企業の双方にとって有益な結果を生むことができます。

このように、新給与体系への移行は単なる給与の変更ではなく、組織文化や社員の意識改革にもつながる重要なプロセスです。

適切に設計し、実行することで、企業の成長を支える強固な基盤を築くことができるでしょう。

現行給与の見直しを検討される方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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