人材の有効活用には、雇用だけではなく業務委託の選択もあります。
「うちは請負契約だから大丈夫」は通用しません!
最近、ある社長さんからこんな相談がありました。
「商品を作る工程に時間がかかっていて、基準の50%しか作れていないんですよね。製造だけ外注しようと思うんだけど…このスタッフ、実はずっと店の中で作業していて、時間もこちらで指定してるんですよね。」
これ、非常に危険な状態です。
たとえ「業務委託契約書」があっても、働き方の実態が“雇用”と見なされれば、過去にさかのぼって「給与」扱いになり、多額の追徴課税、社会保険料が発生する可能性があります。

実際、過去の裁判例でも、請負契約で外注していたスタッフが実質的に社員と同じ働き方だったため、社会保険料・源泉徴収をしていなかった会社側に厳しいペナルティが課せられました。
ただ、業務委託契約が有効であれば、時間ではなく成果により報酬が決まり、組織の生産性が向上します。
また、給与ではなく、報酬扱いとなり、売上にかかる消費税から業務委託者への支払いにかかる消費税を差し引いて納税すること(仕入税額控除)も可能です。
「業務委託」と「給与」の分かれ道
労務リスクを見極めるための5つの基準があります。
1. 指揮命令関係
「こういう手順でやって」「この通りにやって」と作業の進め方まで細かく指示していませんか?
これは雇用関係に近いと判断されやすいです。
2. 勤務場所・時間の拘束
「毎週月曜は9時〜17時でお願いします」→これは雇用とほぼ同じです。
3. 代替性
「この人じゃないと困るんだよね」
これも危険。代替が利かない=雇用関係に近いと見られます。
4. 成果報酬
報酬は「1ロット●●円」など成果物ベースですか?
→もし「時給1020円~」や「月給〇円」なら、給与と見なされる可能性大です。
5. 機材の提供
作業で使う器具や設備は相手が用意していますか?
→すべて会社が支給している場合は雇用扱いされやすいです。

何個当てはまったらアウト?
この5つの基準は、いくつ当てはまったらNGという単純な話ではなく、総合的に判断されます。
つまり、契約書だけではなく“実態”が問われるのです。
最後に:知人や元社員こそ危ない
「昔からの知り合いだから」
「元社員だから安心」
…という油断が一番危険です。
気がついたときには、過去数年分の追徴課税+延滞金がドンとやってきます。
「まぁいっか」は、命取り。
今一度、契約内容と社内の実態を見直してみてください。
ご希望があれば、チェックリストや契約テンプレートの提供も可能です。
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