2025/6/7

スタッフが言うことを聞かない本当の理由

先日、こんなご相談を受けました。

「スタッフに労務のルールを説明しても響かない。日報も遅れるし、残業も多い。注意すると面倒くさいと言われて腹が立って言い返す。でも言いすぎると、また何か言われギクシャクして関係が悪くなるし、カドが立つし……。正直、悩んでるんですよ。」

このままでは、いずれ組織は壊れます。

ですが、その原因は「スタッフの質」ではなく、「社内に流れる見えない空気」にあります。

そして、これはどの会社でも起こりうる“誤解の積み重ね”です。


■ 社長とスタッフにあった「見えないズレ」

今回、私がファシリテーターとして4時間にわたる個別面談を通じて、社長とスタッフ、双方に大きな“誤解”があることが分かりました。

  • 社長:「会社のために必死でやっているのに、なぜ理解してくれない?」

  • スタッフ:「社内では以前のような雑談がなくて、雰囲気が悪い。私たちは監視されている気がする。」

このズレは、「誰が悪いか」の話ではありません。

“日々の小さな断絶”が積み重なった結果です。

■ 今回の職場で明確になった「問題」

  1. 就業ルールの認識不足(普段言っているからわかっているだろう)

  2. 現場の働き方の実態把握の遅れ(長時間残業の原因が不明)

  3. 対話とフィードバックの場がない(定期ミーティング、親睦会がない)

  4. 新人の早期離職で人手不足(採用後は現場担当者に丸投げ)

  5. 評価・賃金基準の曖昧さ(何をすれば評価されるのか不明)

これではスタッフの不満は“静かに熟成”され、いずれ「爆発」します。


■ 解決の第一歩は「対話」と「共通言語」

今回の面談から、次のような改善に取り組む予定です。

  • 定期ミーティングの開催(スタッフからの提案制度の導入)

  • 年間カレンダーの共有(書面作成)

  • 社長の関わり方の見直し(トップダウン→対話型へ、現場視察)

  • 労務勉強会の企画

  • 長時間残業の実態調査と見直し

  • 採用後の教育の見直し
  • 賃金基準の可視化・説明

スタッフが変わったのではなく、会社の“伝え方”と“聴き方”を変えたのです。

■ 「労務の問題」は、「人間関係の問題」でもある

制度やルールだけなどの厳罰化(懲戒処分)だけでは、人は自ら動きません。

誤解や不信感が続くと、どんな制度も形骸化します。

だからこそ、「労務を、ルールではなく“関係性”から見直す」ことが必要です。

■ 最後に:社長のあなたへ

面談の際、スタッフの皆さんが緊張しないように、最初は雑談から話し始めました。

本題に入るとスタッフから「社長はそういう考えだったんですね」、社長からは「全然気づかなかったけど、もっと、こちらから話しかけた方がよかったんだね」と双方の誤解が解けていきました。

あなたの会社は、スタッフの善意でまだ持っています。

忙しいから、時間ができたらと後回しではなく、個別面談をする、それだけで会社は驚くほど変わります。

社長が孤独を感じているとき、スタッフもまた「自分は大切にされていない」と感じているのかもしれません。

誤解をほぐせば、組織は蘇ります。

個別面談の支援を検討される方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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