社長:坪島さんからキャリアアップ助成金の審査厳格化のメールが届きましたが、何が変わったのですか?
社労士:これまでと比べて審査が厳格された点として、待遇差の実態を確認するようになりました。例えば、昨年提出した助成金書類において、2024年5月の定期昇給の有無を確認する連絡が役所からありました。
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キャリアアアップ助成金 正社員化コースの審査厳格による課題
これまでは、提出した書類で完結していましたが、待遇差の確認のため、その後の書類提出を求められます。非正規と比較して正社員の待遇が良くなっている事実を確認するためです。主な確認事項として次のものがあります。
1.待遇差
非正規社員と転換後の正社員の待遇差が6ヶ月以上必要です。
実際に待遇差がない場合は要注意です。
待遇差の対象となるものとして
・定期昇給の有無・賞与支給の有無・退職金の有無・諸手当の有無
不支給該当事例
(1)非正規。正規ともに賞与ありなのに、あえて非正規は賞与無しに就業規則を変更して待遇差とした場合
(2)非正規は賞与無しとしているが、実質正社員と同等の賞与が支給されている
(3)非正規は昇給無しにもかかわらず、契約期間中にに昇給されている場合
(4)正社員にしかつかない手当が非正規社員にも支給されている場合
(5)退職金支給の有無が経営状況による定めをしている場合
2.面談記録
正社員と要試験の面接表を求められることがあるので、面接表を保管しておく必要があります。
3.昇給要件の確認厳格化
正社員転換直後だから、定期昇給をしないのは昇給要件不該当になる可能性があります。
対策
1.正社員と非正規に求める役割や責任をもとにと就業規則に待遇差を定めます。なお、非正規。正規ともに賞与ありなのに、あえて非正規は賞与無しに就業規則を変更して待遇差とした場合は不支給となる場合が有ります。
2.就業規則に基づいて、正しく運用していきます。非正規は賞与無しと定めているのに支給したり、正社員は賞与ありなのに支給しなかったりすれば不支給になります。
たとえば,今期はよく頑張ったから非正規に賞与を支給したり、昇給実施は原則NGになります。
社長の感情で昇給・賞与を采配するのはNGであり、ルール(就業規則)に基づいて決定してくださいということです。
最後に
キャリアアアップ助成金の審査厳格化により、非正規と正社員の待遇差が確保され、効果的な人材活用が可能となるかもしれません。
企業側も、より綿密な人材育成計画を策定し、戦略的に人材を育てる必要が生じるかもしれませんが、それが企業の持続的な成長に繋がる可能性もあります。
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