社長
「会社のお金が合わないので、確認したら従業員が横領している可能性があります。どうしたものでしょうか?」
社労士
「事実確認のため、まず、客観的な証拠を集めましょう。証拠を揃えたうえで、聞き取りを進めていきます。聞き取りの際は、ボイスレコーダーなどで録音しておいてください。」
●これまで相談のあった横領のケース
営業社員が集金に行って、売掛金の一部を着服していた
レジを通した後に、取消し機能を使い、取り消した売上をポケットに入れていた
会社の商品を無断で自宅に持ち帰っていた
●なぜ、横領をするのか?
人間は弱い生き物です。魔が差してしまうことやほんの出来心で横領に手を染めてしまうことがあります。
信頼していた社員だから、創業から信用できる人だからという理由で任せっぱなしにしていると、あとで痛い目に合う事もあります。
まさか、あの人に限って…。
「身内に横領されていた。被害総額30億円以上。犯人は長年一緒に仕事をしてきたオレの部下だった。」(矢沢永吉「アー・ユー・ハッピー?」より)
●横領には防止の仕組みが重要
営業社員が集金に行って、売掛金の一部を着服していた➡集金は廃止し、振り込みのみで対応
レジを通した後に、取消し機能を使い、取り消した売上をポケットに入れていた➡防犯カメラの設置、定期的に操作記録(ログ)や現金記録を別の担当者がチェックする。レジを自動釣銭機に入替える。
また、経理事務員が1人の場合も問題が発生する可能性があります。
パートでもよいので2人体制にして3~6か月ごとにジョブローテーションして、予防します。
●就業規則で抑止効果
横領を抑止する目的のために就業規則に「横領や着服があった場合、損害賠償請求、懲戒処分、刑事告訴する旨」の条文を記載して、全社員に周知しておきます。
人間は弱い生き物なので、この処分が「ブレーキ」の役割を果たし、社員を犯罪者にしない、つまり予防する狙いがあります。