2021/7/3

【賃金】中小企業にとってジョブ型評価制度のメリット?デメリット?


「年功序列・終身雇用制度」「職能資格人事評価制度」「成果主義人事評価制度」に代わるものとして「ジョブ型雇用」が話題になっています。
ここで、中小企業がジョブ型雇用制度を導入する際のメリット、デメリットについて整理します。
本当にジョブ型雇用は実際に中小企業に適合するのでしょうか?

ジョブ型とメンバーシップ型
「ジョブ型雇用」とは、「ジョブディスクリプション(職務記述書)」で職務を定義して雇用することを言います。
欧米方式です。必要な仕事を先に決め、その仕事に適合する人物を探して雇用するという順番で採用活動を行います。日本の企業でもジョブ型雇用への移行に併せて新卒一括採用を辞める企業も出てきています。

一方、新卒一括採用・終身雇用などの日本式を「メンバーシップ型雇用」などと言います。これは、組織風土にフィットする人物をまずメンバーとして迎え入れ、その人物に段階的に仕事をあてがっていくという順序で雇用をします。

その他、両者には以下のような違いがあります。

ジョブ型雇用(欧米)…中途採用、職務により賃金決定、人材定着低い、社員教育なし
メンバーシップ型(日本)…新卒一括採用、年功序列で賃金決定、人材定着高い、社員教育あり

ジョブ型雇用のメリットとしては
1.職務内容により賃金を決定
2.職務に精通しているので職務内容の教育不要
3.即戦力

ジョブ型雇用のデメリットとしては
1.職務内容以外の仕事を依頼しにくい
2.いい条件の会社があればすぐ転職されてしまう
3.業務が無くなったときの対応に困る(日本では仕事が無いからといっても解雇が容易ではなく配置転換の打診が必要)

では、実際に中小企業にジョブ型雇用が適合するでしょうか?
多数の中小企業は未だ日本式での長期安定的な雇用、変動の少ない安定した給与を望んでいるのではないでしょうか。従業員もメンバーシップ型で長期雇用されており、ジョブ型雇用導入を歓迎しない可能性があります。このことから、安定的労働力を確保するためには、ある程度メンバーシップ型の要素を残した上で部分的にジョブ型への移行を検討する必要がありそうです。

所長コメント
今週、ハイブリッド型(ジョブ型とメンバーシップ型のハイブリッド)の人事評価制度の賃金テーブルの打ち合わせをしました。賃金テーブルの昇給は従来の評価により安定的に昇給する「基本生活給」を土台として、職務内容に応じた「職務評価」を実施して各等級を決定するハイブリッド型人事評価制度の導入が決定しました。土台としての雇用を保障しつつ、職務評価はジョブ型雇用方式により個別の労働者ごとに行うようなメリハリのある人事制度が、これからの時代は求められそうです。

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