2025/7/13

生活費がこれだけかかるから、給与をあげてくださいと相談されたら…

社員からこんな相談を受けたと社長から連絡がありました。

「社長、最近の物価上昇で生活費がこれだけ(家計簿を見せながら)かかっています。生活が厳しくなっています。給与を上げてもらえませんか?」

このような訴えに、経営者としてどう対応すべきか――感情的にならず、納得のいく回答を組織としてどう伝えるのかが問われます。

ここで考えたいのが、「給与は何のために支払われるのか?」という原点です。

■給与には2つの側面がある

① 生活保障給(ベースの安心)

② 仕事給(成果への報酬)

多くの経営者が見落としがちなのですが、給与には実は「2つの役割」があります。

【1】生活保障給:社員が働き続けられる“安心”の土台

これは、最低限の生活を維持するための水準。
毎月の家賃・食費・交通費など、社員が社会人としての生活を送れるように支える部分です。

経営者としてこの「生活保障給」をどの程度確保するかは、労働力の安定供給の視点から重要です。

現代は物価の上昇も加わり、生活保障給の見直しが避けられないフェーズにきています。

【2】仕事給:成果・スキル・貢献度に応じて変動する“評価”の部分

一方、「どれだけ成果(粗利益)を上げたか」「どれだけ、仕事で会社に貢献したか」を反映するのが仕事給です。

ここは一律に上げるものではなく、個人の努力・結果に応じて変動させるもの。
社員が「どうすれば給与が上がるのか」を理解し、自ら動ける評価制度が必要になります。



■社員の「生活が苦しい」という声をどう扱うか?

社員:「生活費がかさんで苦しいんです…給料を上げてもらえませんか?」

このような場面では、こう考えてみてください。

  • 現在の「生活保障給」は、社会的な水準として妥当か?(最低賃金、地域差など)

  • 「仕事給」の仕組みは、公平で透明に運用されているか?

感情論ではなく、制度論で向き合う。
これが経営者に求められる姿勢です。

■経営としての答え:「制度設計」で社員の声に応える

社員の“生活の不安”を完全に放置すれば、定着率やモチベーションに影響が出ます。

だからといって、全社員一律で給与を上げるのもリスクが大きい。

そこで必要なのが、「生活保障給」と「仕事給」の切り分けと見直しです。

  • 生活保障給は、最低限の生活を守るラインを意識して調整。

  • 仕事給は、成果と連動した評価制度で運用。

この2つの考え方を社員にも共有することで、不満が「要求」から「努力」へと変わります。

■最後に

社員の「生活費が苦しい」という言葉は、給与制度を見直すサインかもしれません。

生活の不安に向き合いながら、努力が報われる仕組みを整える。

それが、これからの人材確保・育成時代において、経営者が果たすべき役割です。

必要であれば、「生活保障給と仕事給を明確に分けた評価・等級制度」の構築をサポートいたします。
社員の声を、会社の成長エンジンに変えていきましょう。

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