社員からこんな相談を受けたと社長から連絡がありました。
「社長、最近の物価上昇で生活費がこれだけ(家計簿を見せながら)かかっています。生活が厳しくなっています。給与を上げてもらえませんか?」
このような訴えに、経営者としてどう対応すべきか――感情的にならず、納得のいく回答を組織としてどう伝えるのかが問われます。
ここで考えたいのが、「給与は何のために支払われるのか?」という原点です。

■給与には2つの側面がある
① 生活保障給(ベースの安心)
② 仕事給(成果への報酬)
多くの経営者が見落としがちなのですが、給与には実は「2つの役割」があります。
【1】生活保障給:社員が働き続けられる“安心”の土台
これは、最低限の生活を維持するための水準。
毎月の家賃・食費・交通費など、社員が社会人としての生活を送れるように支える部分です。
経営者としてこの「生活保障給」をどの程度確保するかは、労働力の安定供給の視点から重要です。
現代は物価の上昇も加わり、生活保障給の見直しが避けられないフェーズにきています。
【2】仕事給:成果・スキル・貢献度に応じて変動する“評価”の部分
一方、「どれだけ成果(粗利益)を上げたか」「どれだけ、仕事で会社に貢献したか」を反映するのが仕事給です。
ここは一律に上げるものではなく、個人の努力・結果に応じて変動させるもの。
社員が「どうすれば給与が上がるのか」を理解し、自ら動ける評価制度が必要になります。

■社員の「生活が苦しい」という声をどう扱うか?
社員:「生活費がかさんで苦しいんです…給料を上げてもらえませんか?」
このような場面では、こう考えてみてください。
感情論ではなく、制度論で向き合う。
これが経営者に求められる姿勢です。
■経営としての答え:「制度設計」で社員の声に応える
社員の“生活の不安”を完全に放置すれば、定着率やモチベーションに影響が出ます。
だからといって、全社員一律で給与を上げるのもリスクが大きい。
そこで必要なのが、「生活保障給」と「仕事給」の切り分けと見直しです。
この2つの考え方を社員にも共有することで、不満が「要求」から「努力」へと変わります。
■最後に
社員の「生活費が苦しい」という言葉は、給与制度を見直すサインかもしれません。
生活の不安に向き合いながら、努力が報われる仕組みを整える。
それが、これからの人材確保・育成時代において、経営者が果たすべき役割です。
必要であれば、「生活保障給と仕事給を明確に分けた評価・等級制度」の構築をサポートいたします。
社員の声を、会社の成長エンジンに変えていきましょう。
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