2024/7/14

失敗しない労働トラブル対策 不当解雇

企業が不当解雇を行った場合、労働者との間で深刻なトラブルが発生することがあります。

テレビドラマでは、社長が部下に「お前はクビだ」と言い放っていますが、これは現実では法的に無効とされることが多く、企業にとっても大きなリスクとなります。

また、解雇は、30日前に予告すれば問題ないと考えている社長もいるようですが、大きな間違いです。

今回は、不当解雇が引き起こした具体的なケースとその対策について詳しく見ていきます。




不当解雇の具体的なケース

ケース1: 業績悪化を理由とした不当解雇(リストラ)

ある企業では、業績悪化を理由に従業員の解雇を決定しました。しかし、解雇に至るプロセスが不十分で、労働者に対する説明や事前の通知も行われていませんでした。この労働者は解雇の合理的な理由がないとして裁判を起こしました。裁判の結果、企業側が解雇の合理的理由を示すことができず、不当解雇と判断されました。このケースでは、企業は解雇が無効とされ、労働者に対してバックペイ(解雇期間中に支払われるはずだった賃金)を支払うことが命じられました。その金額は1000万円を超えます。

ケース2: パフォーマンス不足を理由とした不当解雇

あるIT企業では、パフォーマンス不足を理由に一人のエンジニアを解雇しました。しかし、解雇の前に適切な評価や指導が行われておらず、労働者に対する改善の機会も提供されていませんでした。この労働者は不当解雇を主張し、弁護士に相談しました。訴訟となり、企業側が解雇のプロセスにおいて適切な手続きを踏んでいなかったため、不当解雇と判断されました。最終的に、この企業は解雇の無効を認め、労働者に対してバックペイを支払うこととなりました。

不当解雇の影響

不当解雇がもたらす影響は非常に大きいです。

  1. 企業の信頼失墜: 不当解雇が公に認定されると、企業の社会的信用が大きく損なわれます。これにより、顧客や取引先からの信頼を失い、事業運営に支障が出ることがあります。
  2. 法的リスクの増加: 不当解雇に対して労働者が裁判を起こすケースが増え、企業は法的なリスクを抱えることになります。裁判費用や和解金、未払い賃金(バックペイ)1000万円を超えることも少なくありません。経済的な負担も大きくなります。

    事例1:三井記念病院事件(東京地方裁判所平成22年2月9日判決) 1700万円支払
    事例2;森下仁丹事件(大阪地方裁判所平成14年3月22日判決) 650万円支払

  3. 労働環境の悪化: 不当解雇が行われる企業では、他の従業員にも不安が広がり、モチベーションや士気の低下を招くことがあります

まとめ

不当解雇は、企業にとって避けて通れない課題であり、適切な対策を講じることが求められます。

企業は、不当解雇のリスクを常に意識し、適切な労務管理を行うことが重要です。

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