年始、クライアントの部長さんから相談を受けました。
現場は人手不足。
その中で、特定の社員が年間50日以上欠勤しており、シフトも業務も回らない。
部下たちも限界に近い、という内容でした。
理由を聞くと、「奥さんの看病が原因」とのことです。
社長として、部長として、「情」と「現場」と「会社を守る判断」の間で悩む、非常に現実的なケースです。
部長から解雇したいと提案がありました。

結論から言います
私は「解雇」はおすすめしません
気持ちとしては、「そこまで欠勤が多いなら、もう限界だ」そう思うのは自然です。
しかし、法的・実務的に見ると、解雇は会社が不利になる可能性が極めて高い。
なぜなら――
欠勤理由が「家族の看病」というやむを得ない事情
服務規律違反や業務命令違反ではない
改善指導や配置転換を十分に尽くしたかが問われる
この条件での解雇は、「解雇無効」「不当解雇」と判断されるリスクが高いのが現実です。
裁判・労働審判になれば、時間もコストも、そして精神的負担も、会社側が圧倒的に消耗します。
現実的で会社を守る選択肢
「休職」という判断
私が部長にお伝えしたのは、こうです。
「就業規則に該当する条文があるので、休職を検討しましょう」
会社の就業規則には、
といった休職規定があります。
今回のケースも、継続的な就労が難しい状態と判断できる可能性が高い。
休職は、
解雇ではない
会社が一方的に切る形ではない
規程に基づく「制度の運用」
つまり、感情ではなくルールで処理できるのです。
復帰が難しければ「自然退職」という形に
休職期間を経て、
体制が整わない
看病の状況が変わらない
就労継続が難しい
この場合、就業規則に基づき「休職期間満了による自然退職」となります。
これは解雇とは全く違います。
会社の恣意的判断ではない
事前に規程で決まっている
労使トラブルになりにくい
会社を守りながら、本人にも一定の配慮をした結論です。

ここで一番大事なこと
「勝手に進めない」
絶対にやってはいけないのは、
会社の都合だけで一方的に話を進める
いきなり「休職に入ってください」と告げる
必ずやるべきことは3つ。
就業規則の該当条文を説明する
現状、現場の状況を丁寧に伝える
本人に理解・納得してもらったうえで進める
このプロセスを踏むかどうかで、将来トラブルになるか、ならないかが決まります。
社長に伝えたいこと
こうしたケースは、「優しさ」か「厳しさ」かの二択ではありません。
「ルールを整え、ルールで守る」それが、社長として一番ブレない判断です。
そのすべてを同時に叶える方法は、感情ではなく、制度と手順にあります。
年始にこうした相談が出る会社は、むしろ「真剣に人と向き合っている会社」だと私は思います。
迷ったときこそ、一度、就業規則を開いてみてください。
答えは、そこに書いてあります。
※実際の運用は、就業規則の内容や個別事情により異なります。
判断に迷った場合は、当社労士事務所への相談を強くおすすめします。
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