2026/1/11

クライアントの部長さんからのトラブル相談

年始、クライアントの部長さんから相談を受けました。

現場は人手不足。

その中で、特定の社員が年間50日以上欠勤しており、シフトも業務も回らない。

部下たちも限界に近い、という内容でした。

理由を聞くと、「奥さんの看病が原因」とのことです。

社長として、部長として、「情」と「現場」と「会社を守る判断」の間で悩む、非常に現実的なケースです。

部長から解雇したいと提案がありました。

結論から言います

私は「解雇」はおすすめしません

気持ちとしては、「そこまで欠勤が多いなら、もう限界だ」そう思うのは自然です。

しかし、法的・実務的に見ると、解雇は会社が不利になる可能性が極めて高い

なぜなら――

  • 欠勤理由が「家族の看病」というやむを得ない事情

  • 服務規律違反や業務命令違反ではない

  • 改善指導や配置転換を十分に尽くしたかが問われる

この条件での解雇は、「解雇無効」「不当解雇」と判断されるリスクが高いのが現実です。

裁判・労働審判になれば、時間もコストも、そして精神的負担も、会社側が圧倒的に消耗します。

現実的で会社を守る選択肢

「休職」という判断

私が部長にお伝えしたのは、こうです。

「就業規則に該当する条文があるので、休職を検討しましょう」

会社の就業規則には、

  • 私傷病

  • 業務に就けない状態が一定期間続く場合

といった休職規定があります。

今回のケースも、継続的な就労が難しい状態と判断できる可能性が高い。

休職は、

  • 解雇ではない

  • 会社が一方的に切る形ではない

  • 規程に基づく「制度の運用」

つまり、感情ではなくルールで処理できるのです。

復帰が難しければ「自然退職」という形に

休職期間を経て、

  • 体制が整わない

  • 看病の状況が変わらない

  • 就労継続が難しい

この場合、就業規則に基づき「休職期間満了による自然退職」となります。

これは解雇とは全く違います。

  • 会社の恣意的判断ではない

  • 事前に規程で決まっている

  • 労使トラブルになりにくい

会社を守りながら、本人にも一定の配慮をした結論です。



ここで一番大事なこと

「勝手に進めない」

絶対にやってはいけないのは、

  • 会社の都合だけで一方的に話を進める

  • いきなり「休職に入ってください」と告げる

必ずやるべきことは3つ。

  1. 就業規則の該当条文を説明する

  2. 現状、現場の状況を丁寧に伝える

  3. 本人に理解・納得してもらったうえで進める

このプロセスを踏むかどうかで、将来トラブルになるか、ならないかが決まります。

社長に伝えたいこと

こうしたケースは、「優しさ」か「厳しさ」かの二択ではありません。

「ルールを整え、ルールで守る」それが、社長として一番ブレない判断です。

  • 社員を守る

  • 現場を守る

  • 会社を守る

そのすべてを同時に叶える方法は、感情ではなく、制度と手順にあります。

年始にこうした相談が出る会社は、むしろ「真剣に人と向き合っている会社」だと私は思います。

迷ったときこそ、一度、就業規則を開いてみてください。

答えは、そこに書いてあります。

※実際の運用は、就業規則の内容や個別事情により異なります。

判断に迷った場合は、当社労士事務所への相談を強くおすすめします。

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