2024/7/20

失敗しない労働トラブル対策 長時間労働

企業において長時間労働は避けて通れない課題であり、適切に対処しないと深刻なトラブルを引き起こすことがあります。

今回は、長時間労働が引き起こした具体的なケースについて見ていきます。


長時間労働の具体的なケース

ケース1: 過労による健康被害

あるIT企業では、プロジェクトの進行が遅れたため、従業員に長時間労働を強いることになりました。一部の従業員は連日深夜まで働き続け、週末も休むことなく働きました。その結果、数名の従業員が過労による体調不良を訴え、最終的にはうつ病と診断される事態に至りました。この問題が公になり、労働基準監督署が調査に入り、企業に対して是正勧告が出されました。

ケース2: サービス残業の発覚

ある製造業の企業では、業務量が増加したため従業員に対して多くの残業を求めましたが、残業代が適切に支払われていませんでした。労働者はサービス残業を強いられ、過労と不満が蓄積されていきました。労働者が労働組合に相談した結果、企業の違法行為が発覚し、労働基準監督署に通報されました。調査の結果、企業は未払い残業代の支払いと共に、罰金を科されました。

広島県 調査結果(令和4年4月~令和5年3月)

違法な時間外労働があったもの: 692 事業場 318 事業場 (46.0%)

うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が 月80時間を超えるもの: 164事業場(51.6%)

うち、月100時間を超えるもの:77 事業場(24.2%)

うち、月150時間を超えるもの:10 事業場( 3.1%)

長時間労働の影響

長時間労働は、企業に対して様々な悪影響を及ぼします。

  1. 従業員の健康被害: 長時間労働は従業員の健康を害し、過労死やうつ病などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。月80時間超えは、過労死ラインです。

  2. 法的リスクの増加: 長時間労働が原因で労働基準法に違反することとなり、企業は法的なリスクを抱えることになります。労働基準監督署からの是正勧告や罰金、さらには労働者からの訴訟リスクも増大します。

  3. 過労死の相場:過労死に対する慰謝料は、一家の支柱的な存在であった労働者の場合には2800万円、それ以外の場合には2000万円~2500万円程度が相場とされています。この慰謝料の相場額は、亡くなった労働者本人の精神的苦痛に対して支払われるものと、家族を亡くした遺族の精神的苦痛に対して支払われるものを合算した金額です。

まとめ

長時間労働は、企業にとって避けて通れない課題ですが、適切な対策を講じることでトラブルを未然に防ぐことができます。

法令を遵守し、労働時間を適切に管理することで、従業員の健康を守り、健全な労働環境を維持することが求められます。

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