2024/9/8

時短希望に対応する給与見直しのポイント

スタッフからの勤務時間短縮の要望があったが、給料をどのようにしたらよいかと社長さんから相談がありました。

特に家庭と仕事の両立を希望するスタッフから、8時間勤務から7時間への短縮、休日出勤なしという要望が出ることも珍しくありません。

こうした要望に対して、給与の見直しは避けられないステップとなります。

しかし、単に時間を減らすだけでは、スタッフのモチベーションや会社全体の生産性に影響が出る可能性もあります。

そこで、効果的な給与見直しの方法を検討していきましょう。



1. 基本給与の時間あたりの調整

まず、時間短縮を受け入れる場合、最もシンプルな方法は勤務時間ベースでの調整です。社員の給与を勤務時間に応じて減額します。

たとえば、8時間勤務で月給30万円(諸手当含む)の社員が1時間短縮を希望する場合、1日あたりの労働時間は7時間となり、勤務時間で換算すると約12.5%の減額になります。

計算例:

  • 現状:月給300,000円(諸手当含む) 
  • 短縮後:1日7時間労働なら、月給= 300,000円  × (7時間÷8時間)= 262,500円

賞与の支給基準を基本給で決定している場合も、上記の計算式を基準に減額します。

この計算式(出勤日数に変更無しの場合)に基づいて給与を見直すことで、労働時間の減少に対して適切な賃金調整が可能です。

2. 成果ベースでの給与体系に一部移行

従来の時間ベースから、成果ベースの給与体系へ移行することも考慮すべきです。
特に専門的な職種や、自己管理が可能なポジションにおいては、勤務時間よりも成果が重視されるべきです。
この場合、「給与の一部」を成果や目標達成に基づいて設定し、勤務時間の短縮による収入減を最小限に抑えることができます。

例えば、売上やプロジェクトの進捗、環境整備、教育研修といった具体的な指標を基準にし、時間に縛られない働き方を提供します。

3. フレックスタイムやリモートワークの導入

時間短縮を望む社員が増える中、フレックスタイム制度やリモートワークを導入することで柔軟な働き方を実現する手もあります。

この方法では、時間短縮により給与が減額されるものの、柔軟な労働環境の提供が、社員にとってのメリットとなります。

これにより、モチベーションを維持しながら生産性を確保できる可能性があります。

 


まとめ

社員からの時間短縮や働き方に関する相談には、柔軟かつ公平な対応が求められます。

単なる給与の削減ではなく、時間短縮に見合った労働環境の整備や、成果に基づく報酬体系の導入が必要です。

また、給与減額に対するフォローとして、キャリアパスの提案も効果的です。

こうした取り組みを通じて、社員のモチベーションと会社の成長を両立させることが可能になります。

企業の経営者として、社員のニーズに耳を傾けつつ、労働環境の改善を進めることが、持続可能な成長へのカギとなるでしょう。

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