先日、クリニックの院長から労働トラブルの相談がありました。
「いままで、ゆるく管理して大目に見てきたのがまずかったのかなぁ…」とおっしゃっていました。
クリニックを円滑に運営するには、スタッフと良好な関係を築くことが重要です。
しかし、労働条件や業務管理についてのトラブルが生じやすい環境でもあります。
ここでは、スタッフとのトラブルを防ぐために、改善が必要なポイントとその対応策についてご紹介します。
1. サービス残業:早出勤務とその扱い
診療開始前の早出勤務をどう扱うかは、クリニックの勤怠管理でよく見られる課題です。中には準備時間中にお茶を飲みながら雑談するなど、労働として扱うか曖昧なケースもあるかと思います。しかし、労働基準法では、準備時間であっても業務の一環とみなされる場合が多く、適切な管理が求められます。
具体的な対策:
- 早出時間の業務と休憩を区別し、業務開始時刻や具体的な準備内容を明確化する。
- 実際の労働時間に応じた適切な残業手当を支給する体制を整え、曖昧な業務範囲を明確にする。
2. 研修手当:事前通知の徹底
新しい医療機器の導入研修が必要な場合、事前に研修時間とその時給をスタッフに通知することは、透明性を保つために重要です。事前通知がないと、後から不満が生じる可能性が高くなります。
具体的な対策:
- 研修が発生する際は、必ず事前に研修内容と手当の金額を文書で通知する。
- 研修に関わる賃金や手当を就業規則に明記し、スタッフが研修内容を事前に理解できるようにする。
3. パートスタッフの有給休暇の取り扱い
パートスタッフの有給休暇の付与は、法律で定められており、付与日数や申請手続きについても明確にする必要があります。不明瞭な場合、スタッフの不満やトラブルの元となる可能性があります。
具体的な対策:
- パートスタッフの有給休暇のルールを整理し、周知徹底する。
- 申請方法や付与基準について、スタッフに定期的に説明を行い、不明点がないようにする。
4. 勤怠管理のクラウド化
紙での勤怠管理は手間がかかり、誤記や紛失のリスクが高いため、クラウドシステムによる勤怠管理を検討するのは合理的です。クラウド管理を導入することで、業務効率を上げ、スタッフの労働時間も正確に把握できるようになります。
具体的な対策:
- クラウド型の勤怠管理システムを導入し、手軽に労働時間や勤務状況を確認できる体制を整える。
- クラウドシステムの操作方法を周知し、スタッフが迷わず利用できるようサポートする。
5. 勤務時間に関する不満と求人の見直し
勤務時間や条件への不満は、求人内容と実際の労働条件が合っていない場合に生じることが多いです。求人要件と労働条件が一致しているかを見直すことで、不満の予防が可能です。
具体的な対策:
- 求人内容が実際の勤務条件を反映しているか確認し、必要に応じて更新する。
- 労働条件に不満が出た場合は、スタッフと個別に面談し、改善策を検討する。
クリニック運営において、スタッフとスムーズな関係を築くためには、労働条件や管理体制の改善が欠かせません。
これらの対策を実施することで、クリニックの信頼性と働きやすさが向上し、安定した職場環境が実現できます。
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