先日、顧問先で人事評価制度の説明会を行ったとき、社員さんからこんな質問がありました。
「うちのような会社は、1人がいろいろな仕事をしています。だから、役割(ランク)を分けて管理するやり方は合わない気がします」
確かに、中小企業ではよくある話です。
仕事がきれいに分かれている会社のほうが少ないでしょう。
そこで、私は逆に質問しました。
「今、組織の中で『人を育てる』『部下に指示する』『業績結果に責任を持つ』というマネジメントの役割を担っている人はいますか?」
答えは、明確ではありませんでした。
実は、ここが問題なのです。
「みんなでやる」は、責任感がない会社になりやすい

1人がいろいろな仕事をすること自体は、まったく問題ありません。
問題なのは、
「誰が、どこまで責任を持つのか」
が決まっていないことです。
社長からすると、
「そこは部長が考えてくれるだろう」
部長からすると、
「最終的には社長が決めるだろう」
社員からすると、
「誰に聞けばいいのか分からない」
こうなると、結局すべての判断が社長に戻ってきます。
社長がいつまでたっても現場から抜けられない会社は、仕事ではなく「役割」が整理されていないことが多いのです。
中小企業だからこそ「役割」を決める
役割制度は、仕事を細かく分けるための制度ではありません。
「あなたは何の仕事をする人ですか?」ではなく、
「あなたは会社の中で、どこまで責任を持つ人ですか?」
を明確にする仕組みです。
一般社員には、自分の仕事をきちんとやり切る役割。
リーダーには、自分だけでなく周囲を動かす役割。
管理職には、部門の数字や人材育成まで責任を持つ役割。
ここが明確になれば、給与についても、
「長く勤めているから高い」
「社長の評価が高いから上がった」
ではなく、
「担っている役割と責任が大きくなったから給与が上がった」
と説明できるようになります。

社長、何でも自分で決めていませんか?
社員がいろいろな仕事をしている会社ほど、役割を決める必要があります。
仕事を分けるのではありません。
責任を分けるのです。
社長がいつまでも、
「それ、どうなった?」
「誰がやるの?」
「結局、俺が決めないと進まない」
と言い続けているなら、社員の能力だけが原因ではないかもしれません。
「誰が、何に、どこまで責任を持つのか」という仕組みがないことが、本当の原因かもしれません。
人事制度をつくる目的は、社員に点数をつけることではありません。
社長が抱えている責任を少しずつ社員に渡し、社長がいなくても回る組織をつくること。
私は、そこに人事制度を導入する大きな意味があると考えています。
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