2026/9/24

人事制度は、「これまでと同じ」を変えるためにある

「うちの業界では、これまでと同じやり方で会社の利益を維持することが難しくなってきています」

人事制度の説明会で、社長が社員に伝えた言葉です。

ここには、制度を導入する本当の理由があります。

人事制度は、社員に点数をつけるためだけのものではありません。これからもお客様に選ばれ、利益を生み出し、社員が安心して働ける会社をつくるための仕組みです。

社長が危機感を持つ一方で、現場からは、こんな声が聞こえてきました。



「今までも、このやり方でやってきました」

「毎日、精いっぱい仕事をしています」

「これ以上、何を頑張ればいいのでしょうか」

社員が努力していないわけではありません。ただ、お客様が求めるものが変われば、同じ努力を続けていても、同じ成果が出るとは限らないのです。

昨日まで喜ばれていた対応が、今日は当たり前になる。

以前は問題にならなかった待ち時間が、他社を選ぶ理由になる。

何も変えずにいる間にも、お客様には新しい選択肢が増えていきます。

だからこそ、経営者が社員と共有すべきなのは、「もっと頑張ってほしい」という要求だけではありません。

「これから、お客様に選ばれ続けるために、何を変えていくのか」という未来の話です。



たとえば、お客様の困りごとを聞き、先回りして提案すること。

ミスや手戻りを減らし、品質と利益を守ること。自分だけができる仕事を仲間に教え、組織全体で対応できるようにすること。

こうした行動を会社が求めるのであれば、評価にも反映させる必要があります。

「新しいことに挑戦してほしい」と言いながら、失敗だけを厳しく評価する。
「部下を育ててほしい」と言いながら、本人の売上しか見ない。

それでは、社員は行動を変えにくくなります。

人事制度で明確にするのは、会社が目指す方向と、その実現に向けて社員に期待する役割です。そして、上司と社員が対話し、できたことを認め、次に取り組むことを決めていく。制度は、その積み重ねを支えるものであるべきです。

説明会では、社長の言葉に続けて、こんなメッセージを伝えたいと思います。

「これからもお客様に選ばれ、会社が成長し、皆さんが安心して働き続けられるように、人事制度を導入します。会社が何を目指し、どんな仕事や行動を大切にするのかを明確にします。そのうえで、これから何を変えるべきかを、一緒に考えていきましょう」

もちろん、制度をつくっただけで利益が増えるわけではありません。社員に変化を求めるなら、経営者も、必要な教育や仕事の進め方、現場への支援を見直す責任があります。

人事制度は、社員への要求であると同時に、「何を大切にし、どう支えるか」という会社の約束でもあるのです。

社長、その評価シートには、これまでの仕事ぶりだけでなく、これからお客様に選ばれるための行動が書かれているでしょうか。

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