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2026/10/18
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誰も会社のことを考えていなかった |
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「誰も会社のことを考えていなかったのですね……」 人事評価制度の説明会で、ある社長が漏らした言葉です。 「社員とここまで考えに差があるとは思いませんでした。指示したことも、いつの間にかやめてしまう。続かない理由も分かりました」 会社の将来を考え、課題を見つけ、社員に伝えてきた。社長には「同じ方向を向いているはずだ」という思いがあったのでしょう。それだけに、社員との認識の差は、衝撃だったのだと思います。 ただ、この場で「社員には危機感や当事者意識がない」と結論づけてしまうと、せっかく見えた課題を解決する機会を逃してしまいます。 「会社のことを考えていない」のか。それとも、「会社の何を、どう考えてほしいのか」が共有されていなかったのか。 ここを確かめることが、次の一歩です。 社長は、売上や利益、お客様の変化、数年先の経営を見ています。 社員なりに、一生懸命働いている。それでも、社長が求める行動にはつながらない。このすれ違いは、見えている情報や、仕事の優先順位が違うことで起きているかもしれません。 たとえば、社長が「お客様への訪問を増やそう」と指示したとします。 社長の頭には、「お客様との接点が減っている。このままでは競合に仕事を奪われる」という危機感があります。しかし、社員に伝わったのが「訪問を増やす」という行動だけなら、忙しくなったときに後回しにされても不思議ではありません。 なぜ必要なのか。何を目指すのか。今の仕事の何より優先するのか。実行するうえで、何が障害になっているのか。 そこまで話し合えて初めて、指示は日々の判断につながります。 「伝えた」と「伝わった」の間には、経営者が思う以上に距離があるのです。 だから私は、その社長にこうお伝えしました。 「ギャップが分かったことは、大きな収穫です。これまでは、ずれが見えないまま指示を出し、続かないことに悩んでいました。これからは、何を共有し、何を変える必要があるのかを具体的に考えられます」 人事評価制度の説明会には、評価の項目や点数のつけ方を伝えるだけでは得られない価値があります。 会社が目指す姿を話す。社員に期待する役割を伝える。そして、社員がどう受け止め、どこに疑問や難しさを感じているのかを聞く。そこで見えたずれが、会社を変える手がかりになります。 もちろん、説明会を一度開いただけで、認識がそろうわけではありません。 期待する行動を具体的にし、実行できる環境を整え、面談で振り返る。できたことを認め、続かなかった理由を一緒に確かめる。評価制度を、そうした対話と改善につなげていくことが必要です。 社長にとって、社員とのギャップを見るのは、つらいことかもしれません。けれど、見えたギャップには手を打てます。 「なぜ社員は会社のことを考えないのか」から、「社員が会社の未来を一緒に考えられるよう、経営として何を共有し、どう支えるか」へ。 その問いの変化が、社員の行動を変えるための出発点になるのです。 |
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