人事評価制度の説明会が終わり、次は社員との個別面談です。
この面談では、新しい役割や給与など、今後の労働条件について一人ひとり確認して雇用契約書を締結していきます。
その打ち合わせで、社長からこんな質問がありました。
「私が面談に同席すると、社員も言いたいことが言えないんじゃないですか? 私はいないほうがいいですか?」

確かに、その考え方もあります。
でも私は、こうお伝えしました。
「できるだけ社長も同席してください」
社員は、制度より「社長」を見ています
新しい人事評価制度を導入するとき、社員が見ているのは制度の中身だけではありません。
実は、社長の言動をよく見ています。
「社長は、本当にこの制度を続けるつもりなのか?」
「また新しいことを始めたけど、そのうちやらなくなるんじゃないか?」
「聞いたふりして放っておけば、そのうち元に戻るんじゃないか?」
社員は口には出さなくても、会社の本気度を見ています。
そして、その判断材料になるのが社長の行動です。
社長が出てこないと、社員はどう考えるか?
説明会では、
「これから評価制度を運用します」
「役割と責任を明確にします」
「頑張った人をきちんと評価し、給料や賞与に反映します」
と説明する。
ところが、その後の大切な個別面談には社長がいない。
これでは社員から、
「結局、社長はそこまで本気じゃないのでは?」
と思われても仕方ありません。
さらに、
「そのうち、この制度もうやむやになるだろう」
と思われてしまえば、どうなるでしょうか。
半年後の評価目標を決めても、
「どうせ続かないから、とりあえず書いておけばいい」
となってしまいます。
これでは、どんなに立派な人事評価制度をつくっても意味がありません。

社員を本気にさせるのは、制度ではなく社長の本気度
人事評価制度を定着させるために必要なのは、分厚い評価マニュアルでも、精密な評価シートでもありません。
大切なのは、
「会社は本気でこれをやる」
というメッセージです。
そして、そのメッセージを最も強く伝えられるのは、やはり社長です。
個別面談に社長が同席し、
「あなたには、この役割を期待しています」
「会社はこれから、この基準で評価していきます」
「一緒に会社を良くしていきたいと思っています」
と直接伝える。
その数十分には、説明資料を何枚配るより大きな意味があります。
社長、人事評価制度を担当者任せにしていませんか?
制度をつくるのはコンサルタントでもできます。
評価シートをつくるのもできます。
説明会をすることもできます。
でも、
社員に「この会社は本気で変わるんだ」と思わせることができるのは、社長です。
社長が本気なら、社員も「今回は本当にやるんだ」と感じます。
社長が一歩引けば、社員も一歩引きます。
人事評価制度が定着する会社と、いつの間にか形骸化する会社。
その違いは、制度の完成度よりも、
「社長がどれだけ本気で関わっているか」
なのかもしれません。
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