2023/1/15

【労務】残業60時間を超えたら給料が1.5倍になるって本当ですか?


人事総務部長から相談がありました。


「残業時間60時間超えたら給料が1.5倍になるって本当ですか?」

社労士
「2023年4月からは、大企業のみが対象となっていた二段階の割増率が中小企業にも適用となります。従業員を1人でも雇っている企業は二段階の割増率が適用されます。
ただ、給料が1.5倍になるのではなく、月60時間を超えた残業代が50%の割増になります」

●これからどう変わる?

法定労働時間を超える時間外労働が
「月間60時間以下は25%」
「月間60時間超は50%」

 二段階の割増率

 

月間60時間以下

月間60時間超

大企業

25%

50%

中小企業

25%

25%→50%

●どうして割増率がアップするの?

労働基準法では、長時間労働による残業時間の抑制のために二段階の割増率を導入します。

月間60時間を境に割増率が倍増する制度設計からは、「国は60時間以上の残業をさせたくない」という明確な意図が読み取れます。

●賃金増加の試算

下記の通り、月給20万円の人に80時間の残業をさせた場合、今までと比べて月間5,882円賃金が上がる計算になります。



併せて、賃金に連動した社会保険料等のコストも上昇することになります。

月給20万円(所定170時間)の人が80時間残業した場合

2023年3月まで

117,647円

20万円÷170×1.25×80

2023年4月以降

123,529円 ※+5,882円

20万円÷170×1.25×60 +

20万円÷170×1.5×20

●賃金請求権の消滅時効の延長

2020年4月の民法などの改正により、未払い残業代など賃金請求権の時効が2年から5年に延長されました(ただし、当面は経過措置として3年とされています)。

この改正も考慮すると、改正から3年経過する2023年4月以降に未払い残業代請求件数及び請求金額が大幅に増加する可能性があります。

法改正に合わせて労働者側弁護士による未払い残業代請求のPRも盛んになることが予想されます。

もちろん長時間労働は労働者の健康増進のためにも避けるべきですが、金銭的な面でも本格的に対策していく必要があると言えるでしょう。

●固定残業制度との関係

固定残業制度に60時間を超える残業時間を設定している場合、法改正後は固定残業手当の再計算をする必要があります。

しかし、そもそも1ヶ月45時間を超える固定残業制度の設計自体の労使トラブルリスクが高いため、法改正に先立って早めに内容を見直していきましょう。

●対策

月60時間を超えたとしても、代替休暇を付与すれば、25%の割増で問題ありません。

そのためには、就業規則の整備と代替休暇の労使協定書の導入が必要です。

 所長コメント

残業時間60時間超の対策について詳しく知りたい方はこちらにご相談ください。

「坪島経営労務事務所は、地域一番(東広島)の社労士事務所を目指しています!社長の悩みや困りごとを解決したいという想いで活動しています。」 
 
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