2021/8/21

【労働トラブル】人事部長から降格処分のご相談


人事部長からの相談 

ご相談がありますので教えて下さい。当社管理職であるA(勤続30年)についてのご相談です。具体的には、Aが会社に損害を与える大きなミスを犯し、現職から係長へ降格予定(2段階降格)“降格”という懲戒を行う予定であります。就業規則の条文に降格があり、そこには“始末書をとり、降格する”とあります。今回の事象について、担当が本人にヒアリングをしても、ほとんど語らない為本人の心情はよく分かっておりません。また、本人からの今回の件について始末書は、今のところ徴求しておりません。これまでもその能力に疑義があるため、約2年間担当から口頭ベースでの改善指導は行って参りましたが改善が見られないため、今月に別部署に係替をした直後に発覚したものであります。(紙ベースの指導記録はありません)

経営トップ含めて“降格人事ありき”ということが既に決まっている中での今回のご相談なのですが、全体を通して気になることがあれば何なりとアドバイス願います。

ポイント
この会社では口頭ベースで指導していたが、書面で記録が残っていません。また、ミスが生じた事実関係の確認が不十分です。なお、懲戒処分については基準が厳格(降格が社会通念上相当であること、始末書、指導記録必須、就業規則の根拠条文など)です。

 会社はどうすればいいのか?

1. 現状・事実関係を正しく把握する
当事者が事実関係の聞き取りを実施すると本人が伝えにくい可能性があります。総務部などの別部署が再度聞き取りを実施して事実確認をしたほうが事実関係を把握しやすいです。また、原因が「人」の過失によるものなのか?それとも「仕組み」の不備によるものなのか?再発防止のため、確認していきます。

2. 「懲戒処分」と「人事異動」どちらの降格なのか?
懲戒処分については基準が厳格です。それに比べて人事異動はある程度認められやすいです。なぜなら、人事権は企業の裁量が法的に認められているからです。

3. 弁明の機会を設ける
人事異動の場合、「指導・注意を行って改善を促し、その後様子をみる機会を設ける」ことが望ましいとされています。今回、本人過失が大きければ、始末書をとることをオススメします。

4. 減給の可否や方法を判断する
降格に伴う役職手当の減給であれば、周知されている賃金規定等の金額に基づいて減給されることになります。

5. 社員に通知する(人事異動の場合)
降格実施の2週間以上前に、辞令により通知します。併せて労働条件通知書により減額された賃金を明示します。(懲戒処分は懲戒処分通知書、人事異動は辞令により通知します)

所長コメント
降格を伝えた直後に、退職される可能性があります。会社がそれを望んでいない場合は、30年間の功績について認め会社が評価していることや〇〇〇というスキルを身につければ、元の役職に復帰可能である旨を伝えて、今後の本人の奮起につなげるとよいかと思います。

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